知能工学 最終レポート< /b>

2000919

専攻科 電子情報工学専攻 2 大杉 直樹(浅井研究室)< /p>

 

 

1.    概要

この文書は,奈良工業高等専門学校 専攻科 電子情報工学専攻  2000年度 知能 工学の課題として提出するものである.本文では2に示す課題 について論じる.

 

 

2.    課題

 

課題 1 講義した内容のうち,最も興味を持った話題について, 以下の点を論ぜよ.

  1. あなたが最も興味を持った 内容
  2. 1の理由

 

課題 2:  山口の講義内容について,以下の点について記せ.

  1. 評価できる点とその理由
  2. 不満点,改善して欲しい 点,それらの理由

 

 

3.    課題1 講義内容 のうち,最も興味を持った話題について論ぜよ< /b>

 

2000626日の講義(テーマ: 問題分割法)について

 

「複雑な問題の解決に際し,それをいくつかの単純な部 分問題に分割して解く」

 

問題分割法の概要として示されたこの言葉は,コーディングの根 本的な目標と作業の説明を含んでいる.バッチ処理,構造化設計,オブジェク ト指向設計.ソフトウェア開発法の全てが「解決すべき問題をどのように分割 するか」という基準を提案するものであり,ソフトウェアの実現によって問題 の解決を志向するという点において,両者は共通している.

 

講義においては状態空間法と手段目標解析について論じておられ たが,これらの方法は,何れも問題を逐次的処理で解こうとする伝統的な方法 である.

 

これに対し,近年のソフトウェア開発では――例えば問題計算中 の画面描画処理や,サーバ・プログラムにおけるソケット監視作業とサービス の並行処理など,分散・並列処理が必要とされる局面が増加している.現在, これらの処理はスレッド・オブジェクトの実装という形で実現されることが多 いが,スレッドは本質的には“処理”であり,この実装はオブジェクト指向の 理念に反している.

 

この問題を解決し,ソフトウェア開発者がスレッドを意識せずに 並行処理を実装できる方法が,問題分割法の考え方の延長から導出できないだ ろうか.これについて研究することは,生産性の向上という側面からソフト ウェア工学における研究である.またその一方,エージェントが知的にコー ディングを補助するという点において人工知能の分野の研究でもあると思われ る.

 

「問題分割法」という抽象的な主題からは非常に多くのものが想 像できる.私がその講義に興味を覚えたのは,以上の着想に基づいている.

 

 

4.    課題2 山口の講義内容について述べよ < /b>

 

山口助教授の講義における全ての始まりは,“マクラ”と名付け られた雑談にある.といっても,ノンベンダラリと雑談に講じているわけでは ない.我々が何気なく接しているゴシップが切り取られ,分析され,袋叩きに あった上で講義内容へと転化されてゆく.もちろん雑談と講義の間に明確な区 切りなど見られない.雑談⊂講義なのである.まさに工学なのである.そして 結局のところ,やはりテッキー(Techie)なのであ る.

 

講義が講義らしくなってきたところで,またしても奇妙な点に気 付く.眼前で展開されている工学的討論に,ある種の文学的なニオイが含まれ ていることである.どこかしら論理に抽象性が含まれており,かと思えば定式 化されたアルゴリズムが次々と列挙されてゆく.これがまさしく知能工学の, そして山口助教授のスタイルなのだと思い知る.

 

抽象性と確固たる論理性,このふたつがごた混ぜになって展開す る山口助教授の講義はテッキーの左脳を苛立たせ,右脳を刺激する.右脳に麻 痺を要求し,左脳にアドレナリンを流し込む.このスピードと混沌,そして何 より最後まで結末の見えない討論.Webが世界を覆 い尽くし,全てのものが再構築を要求されている今日にぴったりのスタイルだ と思うのは私だけであろうか.

 

 

5.    公開の是非と著作権表示

 

本文書の著作権は大杉 直樹が保持し,全ての権利は著 作権保有者に帰属する.  この著作権表示を改変しない限り,著作権保持者の許 可無しに本文書を引用,改変,再配布することができる.本文書によって生じ るいかなる被害に対しても,著作権保持者は法的義務を負わない.

 

Copyright © 2000 Naoki Ohsugi

All Rights Reserved.

大杉 直樹    mailto:ohsugi@info.nara-k.ac.jp

http://www.info.nara-k.ac .jp/~ohsugi/

 

※ソフトウェアも含め,最近は全ての著作物にこういう表記をつ けるように心掛けています.ご了承ください.