知能工学 2000
Intelligence Engineering 2000


2000, Sep. 13th, updated



最終講義
    - エージェントベースのAI研究の方向性 -


注)緑字は山口の加筆修正部分です.
2000年 9月11日(月) 講義ノート.....電子情報専攻 山口研究室,渡辺 亮介

9/11(月) 雨 ノート:渡辺 亮介

1,単位認定の基準
  (1) 出席・・・2/3以上(10/15回)
  (2) 中間レポート(タイル敷き詰め問題)
  (3) 期末レポート
  (4) 電子ノート提出

以上のうち3つ以上を満たすこと.


2,最終講義
 エージェントベースのAI研究の方向性
 エージェントベースのAIとは?

 2,1 参考文献
 [1] 最新エージェントテクノロジ, bit, 1999, 2-8月号, 連載 →単行本化
    →国内外の代表的なエージェント研究
 [2] Russel, 1995,AI,AIの各分野,
    →既存手法をすべてエージェントという枠組みで統一的に説明した教科書
 [3] G.Weiss, 1999, Multiagent Sytems,
    →マルチエージェントと分散AIに関する国際的な研究テーマの網羅的紹介
 [4] 山田誠二, 適応エージェント
 [5] 山田誠二, 知的エージェント →執筆中
 [6] Genesereth, Logical Foundations of AI, 1987
    →論理ベースの教科書.13章が「知的ベースのアーキテクチャ」

 2,2 エージェントAI研究の背景
  (1) 地に足のついたAI研究 by大澤(at筑波大AP)
     →近未来(3年後)に役立つ研究をすべき.
      実社会,実世界の問題/ニーズを扱っているか? 
      ⇔実社会,実世界から宙に浮いた研究 ex.倫理学 →人を殺す経験がしたい.

    宙に浮くとは?
     →具体例からの抽象化,モデル化
       自然科学の基本的手法

    問題点・・・モデルの中だけで閉じて研究が進んでいくこと.
           1) モデルと対象の実世界が離れていく.
           2) 実問題のうち,モデル化しにくい部分は捨てられる.

  (2) Symbol grounding問題(記号接地問題)
    AIで扱っている記号の意味を実世界(の現象)にどう結びつけていくか?
     → 知的ロボット研究(1980's後半)
     → 知的エージェント in WWW

    ex. WWW上でチャットをしている相手の(ハンドル)ネームと実世界上での人間との対応付け

 2,3 山口が考えるエージェントAI研究の方向性
  (1) 日常生活における”知的さ”の追求
     Intelligence in daylife

  知的エージェントが目指すのは,人間のあらゆる知的活動の代行,増強
  ならば,日常生活の何気ない行動の中にも研究テーマがあるはず

  (2) 既存の人文科学,社会科学との重なり
         (心理学,教育学,社会学,倫理学 etc.)
    →人間の活動を対象とした分野

    エージェント研究が人間の活動の代行,代替を目標とするならば,
    いずれ上記の分野との競合,協調が起こる.

    ex. 教育,学習の問題
     Q. なぜこんなことを憶えないといけないのか? →エージェントのモデル実験


          ↓
     エージェントのための学習や知識獲得のシステムを構築し,
     アルゴリズムをを実験的に検証することで,
     人間の学習方法の改善にフィードバックさせる.

---ここまで

以下,山口の補筆分です.


2.4 まとめ

今後のAI 研究は,エージェントベースになることによって,
これまでのAI研究での知的さの空白部分を埋めるように進んで行く.
知的さの空白部分とは,人間のあらゆる(知的)活動をエージェントベースの
システムに置き換えた場合に,既存の研究との間に発生するギャップである.

すなわち,
   1) 人間の身近な日常生活での知的さ,
   2) 人間のあらゆる活動での知的さ
である.
1) は,既存の認知科学と重なる部分,
2) は,既存の人文科学の各分野と競合する部分である.

エージェントベースのAI研究をする意義は2つ.
   1) 人間の知的能力の増強
   2) 人間の知的能力の代行

1),2)の知的能力の増強と代行とは,相補的なものであって,
エージェントの代行のモニタによって,人間側の知的能力の増強という,
正のフィードバックが生じることが重要である.

以上,

 




yamaguch@info.nara-k.ac.jp


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