特別教育研究経費成果報告用ページ


事業名
e-Learningシステムを活用した全学的な情報教育支援体制の実現
概要
高等学校科目「情報」の授業で学ぶ内容と同等以上の情報リテラシ能力と情報倫理を身につけた学生及び教職員の育成を目的とした情報教育を支援するe-Learningシステムの導入とその運用体制の確立を実現する.このシステムを通じて,全学的に最低限情報に関する基礎知識とスキルを身につけさせる

1. 事業の必要性
【目的・目標】
 高等学校科目「情報」の授業で学ぶ内容と同等以上の情報リテラシ能力と情報倫理を身につけた学生及び教職員の育成を目的とした全学的な情報基礎教育を支援するe-Learningシステムの導入とその運用体制の確立を実現する.このシステムを全学的に運用することによって,学生及び教職員全員に情報に関する基礎知識(情報技術,情報倫理に関する内容の習得)とスキル(情報リテラシ能力)を身につけさせる.
【必要性・緊急性】
 社会におけるIT化の進展に伴い,学生によるネットワークの不適切な使用や,情報機器等の破損,著作権やプライバシーを侵害する行為等が増加しており,教職員においても,情報漏洩や個人情報の管理に対する危機管理は十分とは言い難い.
 これに対して,情報教育の充実が急がれる中で現状の情報教育では,教えなければならない基準が明確化されておらず,学習方法および個人間の情報スキルのばらつきに加え,学習者へのインセンティブおよび達成感を与えることが困難である.このために,画一的な教育よりも自分の学習レベルを把握しながら自学自習でき,時間や場所の制約を受けないe-Learningシステムによる情報教育の実現とその環境整備が不可欠である.
【独創性・新規性等】
 本事業の独創性と新規性は,以下の2点にある.
 1点目は,学生,教職員がe-Learningを体験してその効果を実感することによって,e-Learningシステムを授業や校務の中で活用していく意識が高まり,教育の質の向上と改善,並びに,人材の育成が実現できる戦略そのものにある.
 2点目は,平成17年度「現代的教育ニーズ取組み支援プログラム」(現代GP)において,サイエンス・「ものづくり」・地域力の展開という取組が採択されており,この取組内容の情報教育の側面を補完する.特に,e-Learningによる情報教育を地域展開することで,地域の小中学校への情報教育のサポート,及び,社会人,主婦,高齢者に対する生涯学習支援として,本校に来校せずともe-Learningにより情報教育を遠隔的に提供することができる.
2.事業の取組内容
 既存の施設(情報工学科 情報処理実習室)に対して,別紙(事業概要)に示す本事業で導入した情報基礎教育支援e-Learningシステム一式(e-Learningシステムサーバ+e-Learning教材作成ソフトウエア環境)を試行的に運用させ,e-Learningを中心とした授業を学生,教職員に対して開始すると共に,将来的に全学的な規模で情報教育及び情報倫理教育に用いる教材の開発を行う.
3.実施体制等
 e-Learningに用いる情報教育および情報倫理の教材の作成については,従来の情報教育のノウハウを生かして,情報工学科と各科情報教育担当者が連携して担当する.また,専攻科のPBL(Problem Based Learning)実験においても教材開発を行う.本事業で導入するe-Learningシステムの管理・運用・サポートについては,情報メディア教育センター運営委員会とその委員が担当する.
 また,e-Learningシステム使用時のネットワークポリシーおよび個人情報の管理については,ネットワーク管理室が担当する.本事業の有効性と評価は,学校長を中心とした事業実施主体全体(e-Learning推進室【仮称】)で統括的かつスパイラル(PDCAサイクル)的に行う. 
4.事業達成による波及効果等
 教職員及び学生の情報教育と情報倫理の習得の度合いがe-Learningシステムによって定量的に情報教育の成果を評価できるとともに,対外的にもその成果を明らかにすることができる.また,学外への利用者にまでシステムを活用することで,地理的要因や時間的制約を受けない教育サービスの提供や,産官学の連携事業の一部として流用が可能になる.
 この本事業の成果によっては,高専レベルでは,初のe-Learningによる人材育成教育の試みともなるため,対外的なPR効果も高いといえる.

配分額
年度 金額
平成20年度 4,978,000
平成19年度 7,905,000
平成18年度 8,200,000

取組内容

研究成果一覧
口頭発表【6件】
松尾賢一,山口賢一,西野貴之,松村寿枝,内田眞司,本間啓道:“e-Learningシステムを活用した情報基礎教育の推進”,平成20年度情報教育研究集会 講演論文集,pp.97-100,(2008/12/13)
山口賢一, 廣田千春,松尾 賢一,西野貴之 :“ボードゲームを用いた情報倫理教育の効果的な実践方法の検討”,平成20年度情報教育研究集会 講演論文集,pp.1-4,(2008/12/13)
松尾賢一,山口賢一,本間啓道,松村寿枝,内田眞司,西野貴之:“e-Learningシステムを活用した情報教育支援体制の実現に向けた取組”,第28回高専情報処理教育研究発表会論文集,pp.57-59,(2008/8/28)
山口賢一,松尾賢一:“PBLによる情報基礎教育コンテンツ開発の試み”, 平成19年度情報教育研究集会,C2-5,(2007/11/10)
松尾賢一,山口賢一,本間啓道,松村寿枝,小山雅史,内田眞司,西野貴之:“奈良高専におけるe-Learning構想とその現状U”,第27回高等専門学校情報処理教育研究集会論文集,No.27,pp.70-73,(2007/08/30)
松尾賢一:“奈良高専におけるe-Learning構想とその現状”,平成18年度情報教育研究集会予稿集,pp.301-304,(2006/11/25)
研究会等【計1本】
廣田千春,山口賢一,松尾賢一:“ボードゲームを利用した情報倫理教育導入の試み”,教育システム情報学会関西支部 高等教育研究部会 研究会資料,pp.9-12,2008
学術雑誌(紀要も含む)【計2本】
松尾賢一:“e-Learningシステムを活用した全学的な情報教育支援体制の実現U-ブレンディッド・ラーニングを用いた授業の試み-”,奈良高専研究紀要,第44号(投稿中)
松尾賢一:“e-Learningシステムを活用した全学的な情報教育支援体制の実現-平成18,19年度特別教育研究経費に関する中間報告-”,奈良高専研究紀要,第43号,pp.125-130,2008


〒639-1080 大和郡山市矢田町22
奈良工業高等専門学校 情報工学科 
准教授  松尾 賢一
TEL:0743-55-6139 FAX:0743-55-6149
E-mail:matsuo□info.nara-k.ac.jp
(巡回ロボット対策のため,□を@に変えています)