エイリアシングについて


エイリアシング(aliasing)の発生とその防止方法について
9Hzの波形(青色実線)を10点(10Hz)でサンプリング(赤の実線)すると,1Hzの波形(赤色破線)が観測される.

 すなわち,サンプリング周波数が10点だとすると,5Hzの周波数しか表現できない.この場合だと,9Hzの波形を表現するためには,9Hz(ナイキスト周波数)の倍以上である18Hz以上(サンプリング周波数)でサンプリングしなければならない.このように,測定する波形の最大周波数の倍の周波数以上でサンプリングしなければならないことを,サンプリング定理と呼んでいる.このサンプリング定理を満たさないために表れた赤色の破線の波形をエイリアシングという.
 波形を測定するときは,ぜひエイリアシングを発生させないように,十分大きなサンプリング周波数を用意しよう!!
エイリアシングの例
このエリアシングを身近な例で見てみよう.
まず,12時を示す時計があります.この時計をずーっと眺めて観察することにします.
では,まず1Hzでサンプリングします.つまり,1秒で1回時計を観測します.
左から,0秒,1秒,2秒,3秒の観測結果となります.

1Hzでのサンプリング観測結果

とうぜん,どの観測時間においても12時を指しています.この観測から言える事は,
この時計は,
 @12時のまま静止している
 A1秒間に2回以上回って,k秒ごとに12時を指す
 B右回転か左回転かがわからない.
と測定結果から言えます.
したがって,1秒間で1回の観測では,静止している時計,
1秒間に2回以上回って12時を指してしまう時計が区別できないことになります.
では,0.5秒で1回観測するために,2Hzでサンプリングします.
つまり,左から0秒,0.5秒,1秒,1.5秒の観測結果となります.

2Hzでのサンプリング観測結果

時計が動いていることが,わかるようになりましたので@の問題は解決しました.
でも,AとBは,以前解決されません.
さらに,4Hzでサンプリングです.
左から,0秒,0.25秒,0.5秒,0.75秒の観測結果となります.

4Hzでのサンプリング観測結果

残念ながら,AとBが解決されません.0.25秒では,右に90度,あるいは,左に270度回ったかもしれませんし,
何周回ったかもわかりません.
したがって,何周回ったかを特定するためには,Aの問題に対して,
2回以上回転するものを両回転方向に含まないと限定すればよいことがわかる.
つまり,2Hzで測定するならば,時計は1秒間に1周しかしないことに限定するわけである.
よく,F1をTVで見ていると,タイヤが逆に回っているように見えることがあります.
本来は,270度で回ったタイヤを90度しか回っていないタイヤとして,
我々がTV上でエリアシングとして見てしまっているわけです.
これは,TVの映像がサンプリングされた画像の集まりである証拠であり,太陽光では見られない現象です.


〒639-1080 大和郡山市矢田町22
奈良工業高等専門学校 情報工学科 
教授  松尾 賢一
E-mail:matsuo□info.nara-k.ac.jp
(巡回ロボット対策のため,□を@に変えてください)